腰椎すべり症は、鍼灸治療で治りますか？

腰椎分離症のある方や、腰の関節のかみ合わせが薄い方がなりやすいです。ストレスで姿勢筋（インナーマッスル）が硬くなったり、女性ホルモンの影響で靭帯や椎間板の軟骨繊維が柔らかくなったりすると、徐々に背骨のずれが大きくなります。股関節の硬さも腰椎すべり症の悪化に影響します。

女性の場合は、出産や生理ごとに軟骨繊維を柔らかくするホルモンが出るので、椎間板の軟骨繊維が徐々に伸びていきます。おおむね55才～65才で悪化のピークになることが多いです。男性の場合、ぎっくり腰を繰り返すごとに椎間板の繊維が伸びるので、ぎっくり腰を繰り返すほど早くすべり症が進行します。

腰を無理に反ったり、急激に腰を捻ったりする動作で悪化します。無酸素運動をすると姿勢筋が硬くなるので、運動翌日にも悪化することが多いです。強い整体やうつぶせでの指圧も、すべり症が悪化することが多いので注意をしましょう。

症状が軽いうちは、動き始めに腰が痛みます。症状が進みだすと脚の感覚異常が出だします。脚の症状は神経の麻痺症状なので、血の気が引くように感覚がなくなることや、正座の後に足がしびれるような感じになることが多いです。

無酸素運動はやめましょう。急激に後ろに反るようなスポーツやお仕事も症状が悪化します。腹筋を鍛えてもあまり効果がありません。かえって、筋肉が硬くなるとすべりが大きくなることが多いので注意をしましょう。

自律神経を調節して、背骨のインナーマッスルを柔らかくすることができる鍼治療は、すべり症の治療に効果的だと思います。背骨のインナーマッスルが柔らかくなることで、背骨が全体的に動くと、分離症の進行が止まります。合わせて腰痛ベルトを使うと腰の機能が戻りやすくなります。

鍼治療をすることで坐骨神経や大腿神経の血流がよくなり、再生力が上がることが分かっています。足のシビレは神経の麻痺なので、早めに改善するようにしましょう。

日常生活の負担に鍼治療が負けてしまうので、なかなか効果が出ません。ご自分の体なのでできるだけ治療をするようにしましょう。遠方で頻繁に通院できないケースでは、1日に2回治療することや、腰痛ベルトやクラッチ杖を使って腰に負担をかけないようにすることも効果的です。

無酸素運動や筋肉の疲れで背骨のインナーマッスルが硬くなると、背骨がぐらついてすべり症が進行します。太極拳のような運動なら症状は悪化しません。ヨガはポーズの習得をしようとするとすべり症が悪化しやすくなるので注意をしましょう。

鍼はお薬に影響を与えないので併用も可能です。ただし、痛みを止めることだけを目標にすると症状が悪化することが多いので、機能を取り戻すことに集中しましょう。

鍼治療の後に睡眠をとるようにしましょう。鍼治療はノンレム睡眠時に出るホルモンの作用を使って自然治癒力を高めることが分かっています。治療中も眠れる時は眠ってしまえば、治療効果が高まります。