そもそも、なぜ手の汗だけひどくなるのですか？これは病気ですか？

手掌多汗症は、特定の病気が原因というよりも、心と体を調整する「自律神経」のバランスが乱れることで起こります。特に、体を興奮させる交感神経が過敏に働いてしまうのです。誰にでも起こりうる体の反応ですので、「特別な病気かも」と過度に心配なさらないでくださいね。

鍼（はり）は痛いですか？子供が怖がりなので心配です。

ご安心ください。治療に使う鍼は、髪の毛ほどの極めて細いものです。痛みを感じることはほとんどなく、お子様によっては施術中に眠ってしまうこともあります。また、鍼はすべて使い捨てですので、衛生面でも万全です。

鍼治療で体に悪い影響（副作用）はありませんか？

鍼治療は、お薬のように化学物質を体内に入れるものではなく、ご自身が本来持っている自然治癒力を引き出す、体に優しい治療です。そのため、副作用の心配はほとんどありません。手術で起こりうる代償性発汗（他の場所から汗が増えること）のようなリスクもありません。

どれくらいの期間、何回くらい通えば効果が出ますか？

個人差はありますが、当院ではまず14回をワンクールとして集中的に治療し、体質改善の土台を作ります。症状が安定してくるまでの期間は、その症状を抱えていた期間と同じくらいが目安となります。焦らず、じっくりと根本改善を目指しましょう。

病院（皮膚科）の治療と、鍼治療はどう違うのですか？

病院での治療は、お薬などで汗を一時的に抑える「対症療法」が中心となります。一方、鍼治療は、汗の原因である「自律神経の乱れ」そのものにアプローチする「根本治療」を目指します。体の内側からバランスを整えることで、汗をかきにくい体質へと導きます。

健康保険は使えますか？

申し訳ありません。現在の制度では、手掌多汗症は鍼灸の健康保険適用の対象外となっており、自費での治療となります。自費治療だからこそ、保険の制約にとらわれず、お一人おひとりの症状に合わせた最適な治療を時間をかけて行えるという側面もございます。

なぜ、こちらの治療院ではサーモグラフィを使うのですか？

自律神経の状態は、目には見えません。当院ではサーモグラフィで体表温度を撮影し、自律神経の状態を「可視化」します。これにより、①客観的データに基づいた的確な治療ができ、②治療前後の改善が一目瞭然となるため、患者様ご自身も納得して治療を続けていただけます。

治療を受ければ、汗は完全にかかなくなりますか？

目標は、汗を「ゼロ」にすることではありません。汗は体温調節に必要な大切な生理現象です。鍼治療のゴールは、精神的な緊張などによって引き起こされる「余分な汗」をコントロールできる状態にすることです。日常生活で、手の汗が気にならなくなることを目指します。

子供がまだ小さい（小学生）のですが、治療は受けられますか？

はい、小学生のお子様から治療を受けていただけます。お子様の体は非常に繊細で敏感ですので、年齢や体格に合わせて、使用する鍼の種類や刺激量を細かく調整いたします。無理のない、優しい治療を心がけておりますのでご安心ください。

症状が良くなったら、治療を完全にやめても大丈夫ですか？

症状が安定した後も、しばらくは体をメンテナンスするために、月１回程度のペースで通院されることをお勧めしています。季節の変わり目や環境の変化で自律神経は揺らぎやすいためです。再発を防ぎ、良い状態を維持するため、一緒にサポートさせていただきます。

手のひらの多汗症は、鍼治療で良くなりますか？

中学生の娘のことでご相談です。娘は昔から手に汗をかきやすく、特に緊張すると、テストの答案が濡れてしまったり、友達と手をつなぐのを避けたりしているようです。

本人は気にしないふりをしていますが、思い悩んでいる姿を見ているのがつらく、何とかしてあげたいです。皮膚科にも相談しましたが、手術や強い薬には抵抗があります。鍼治療で、娘のような症状は良くなるのでしょうか。

長野県在住Ｍ.Ｓ.さん（お母さんより）

ＭＳさん、お嬢さんのこと、さぞご心配なことと存じます。お母様のお気持ち、痛いほどよくわかります。ご安心ください。結論から申しますと、鍼治療がお嬢様のお悩みの助けになる可能性は十分にあります。

思春期に多い手の汗は、精神的な緊張によって、体を活動的にする「交感神経」が過剰に働いてしまうことが原因です。これは「気持ちの問題」だけでなく、自律神経という体のシステムの反応なのです。

鍼治療は、この高ぶった神経の緊張を和らげ、心と体をリラックスさせることで、自律神経のバランスを根本から整えていきます。お薬や手術とは異なり、お子様自身が本来持っている力を引き出す、体に優しい治療です。

汗の量を気にせず、お友達と笑い合える学生生活が送れるよう、私たちが全力でサポートいたします。一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。

鍼灸師吉池くるみ