中心性脊髄損傷は、鍼灸治療で治りますか？

首で脊髄を傷めた外傷の中で、足よりも手に強い麻痺がおこる症候群です。首が後ろに急激に反ることで発症しますが、もともと首のヘルニアや後縦靭帯骨化症があることが多いです。また、背骨の動きを観察すると、首だけが動いている方が多いです。

受傷時は手足が麻痺します。その後足から回復します。損傷具合により1型～3型に分類されます。1型では手の麻痺シビレのみで、足の症状はほとんどありません。2型では受傷時に手足の麻痺が著しいのですが、足から回復が始まり手も遅れて回復が始まります。3型では足の痙性麻痺が起こり、日常生活に支障が出ます。温覚・痛覚の症状については損傷の度合と、患者様の素因で大きな差が出ます。

温痛覚の情報を運ぶ部分が損傷すると、感覚がなくなることや耐えられない痛みが続くことがあります。患者様の素因で苦痛の訴えが大きく変わるので、医学的によく解明されていない部分です。お医者様はプレガバリン（リリカ）を処方されます。温痛覚の異常には鍼治療が効果的なことが多いです。

デスクワークや屈み仕事が原因で、背中の関節が動かなくなっている方が悪化しやすいです。また、頚椎症や後縦靭帯骨化症、首のヘルニアがあると中心性性脊髄損傷が重症化することが多いです。

中心性脊髄損傷は両手の症状が強くでるのですが、足の痛みが強くでることはあまりありません。そういったケースでは、もともと腰を悪くしていることが多いです。中心性脊髄損傷の治療と並行して、腰から足の痛みの鍼治療をすることで改善することが多いです。

脊髄損傷の鍼治療やリハビリはすべて保険外となります。整骨院では骨折、脱臼、打撲、捻挫が保険適応となります。鍼灸院では慢性的な痛みが保険適応となります。中心性脊髄損傷と合併したそれらの疾患では、その部分のみ保険が適応できます。。

中心性脊髄損傷の6割に何らかの後遺症が起こります。ただ、お医者様の保険治療（急性期のステロイド・負傷後のリハビリ・慢性期のプレガバリン）で効果が無かった患者様でも、鍼治療で効果が上がるケースが多くあります。発症～2年の間は鍼治療で回復するケースが多いです。

発症から2年程度は回復することが多いので、定期的な鍼治療をすることをお勧めしています。2年後も、麻痺が残っていると筋肉の萎縮が進行することがあるので、無理のない範囲で治療を継続しましょう。

鍼灸を専門にしていて医療用サーモグラフィーがある鍼灸院がおすすめです。全身の温度分布をモニタリングすることで、中心性脊髄損傷を生理的な活動レベルから把握して治療をすることができます。マッサージをする鍼灸院はあまりおすすめしません。脊髄損傷よりも肩こりや腰痛がメインの鍼灸院が多いです。