私(森上鍼灸整骨院 院長 鍼灸師 吉池弘明)の父親が顔面神経麻痺になった時の経験をもとに、顔面神経麻痺について知っていた方が良いことを時系列とともに説明します。顔面神経麻痺になられて不安を抱えた患者様のお役に立てたら幸いです。
顔面神経麻痺が発症したら、ステロイドと抗ウイルス剤での治療を優先します。ステロイドの治療が済んでも効果がなかったら、早めに鍼治療をするのがおすすめだと思います。
発症について
『 夜に耳が痛かったため、痛み止めを飲みました。
翌朝、目に痛みを感じ、水を飲むと口からこぼれてしまうことに気付きました。』
※顔面神経麻痺になったら、おでこにしわが寄るかを確認しましょう。
・おでこに皺がよったり、手足の動きが悪ければ脳が原因のことが多いです。→脳外科へ受診
・おでこに皺がよらなければ、顔面神経が原因のことが多いです。→耳鼻咽喉科へ受診
総合病院の診療開始時間まで時間があったので、一応、顔の筋電図とオージオグラムをしてみました。顔面神経麻痺は軽症も重症もあるので、病院では、筋電計検査で重症度を決めています。父親の場合、健康な方と比べて10%程度のうごきだったので、重症の部類でした。(一桁だと、手術をすすめられることが多いです。)
・顔面神経麻痺の前症状で、耳が痛ければ重症のことが多いです。
手足の動きにも問題がなかったため、9時になってから総合病院に連れて行きました。
病院では耳鼻咽喉科か脳神経外科にかかります。
私の父親の場合、耳鼻科にかかるべきだったのですが、脳腫瘍や脊髄炎が原因の顔面神経麻痺もあるので、大事をとって脳外科を受診しました。MRIの検査をしてもらい、顔面神経麻痺を起こす障害や病気が発見できなかったので、ベル麻痺ということで入院することになりました。
※ベル麻痺は一般的多い顔面神経麻痺です。水疱瘡ウイルスが原因と言われています。
※耳が痛い場合、ラムゼイ・ハント症候群のことがあります。帯状疱疹ウイルスが原因で重症のことが多いです。
麻痺は3日程度かけて進行して完成します。
『私の父親は、入院してからも徐々に症状が悪化して三日後に麻痺が完成しました。』
顔面神経が通る管の中で顔面神経が徐々に腫れて壊れるので、麻痺も時間をかけて徐々に悪化します。
※発症からしばらくは、冷やした方が良いです。(神経の腫れが引きやすくなります。)
※ステロイドの治療が終わったら、温めた方が良いです。(神経線維の再生が早くなります。)
治療は、ステロイドの点滴がメインです。
『体の炎症を急激に抑えなければならないので、ステロイドの点滴をしました。』
※ウイルスが原因と言われていますが、ウイルスを特定するのに時間がかかることと、抗ウイルス剤はウイルスの増殖を抑える作用しかないので、ベル麻痺では使わない先生も多いようです。
※治療はステロイド、抗ウイルス薬、ビタミン剤となることが多いです。
顔面神経麻痺は鍼治療で治るのか?
『片側がほとんど動かなくなる完全麻痺状態が続いたまま退院しました。』
※入院中に手術の説明もされたのですが、信大病院での手術になること、手術をしても、骨を削って神経の腫れが引きやすい状態にするだけだということ、後遺症がでること等の説明を効いて、父親は手術をしない決断をしました。
翌日から1日2回鍼治療をしました。退院後4週間(発症から6週間)でわからないまでに完全回復しました。
※退院後から一日二回ずつ、鍼治療をしました。
※ベル麻痺は、そのままでも70パーセントは1カ月程度で治癒すると言われていますが、発症から2週間たっても回復の兆しが見えないものは注意が必要です。
耳鼻科の先生もびくり
『鍼治療は大変効果がありました。
鍼をすることで、ご飯を食べやすくなり、顔が動かしやすくなるとのことです。』
※通院ごとに耳鼻科の先生がびっくりしたそうです。
これは今から20年も前の話ですが、それからベル麻痺の治療は進歩していません。
こんな経験から、顔面神経麻痺を治す鍼灸治療に取り組むことになりました。