筋萎縮性側索硬化症はどんな病気ですか？

体を動かす運動神経と、舌を動かす脳神経が働かなくなる進行性の病気です。思考力や感覚、自律神経は正常です。患者様により進行に大きな差が出ます。進行の遅い患者様の脳内にはエンドカンナビノイドが多いと言われています。また、肩から始まる筋萎縮側索硬化症は、進行が遅いと言われています。首や舌から始まる筋萎縮性側索硬化症は、進行が早いと言われています。

エンドカンナビノイドとはなんですか？

体内で作られる脳内マリファナ類似物質です。神経伝達の調節をしたり、病気を治すのに働くと言われています。鍼灸治療が痛みを止めたり、自然治癒力を上げる要素として、内因性カンナビノイドが関与していると言われています。

鍼はどんな効果があるのですか？

電気鍼治療で舌や手足の筋肉に直接刺激をすると、内因性カンナビノイドの代謝が上がると言われています。筋肉の代謝が高まり、動きやすくなります。言葉が聞き取りやすくなるケースがあります。また対象する基準がないものの、3年後に呼吸器をつけると言われていた患者様が、呼吸器をつけないで生活されるケースもあります。

どの程度治療の効果はありますか？

筋萎縮性側索硬化症は、進行する速度に個人差があります。足や背中の筋肉が低温になっている患者様は進行が早いですが、片手だけ低温の患者様は進行が遅い印象を受けます。鍼治療で筋肉の温度が上がるほど治療効果が高まる感じがしますが、どの程度の治療効果が上がるかは、個人差があります。

どんな注意が必要ですか？

胸を広げて呼吸をする習慣をつけましょう。クッションで背中が固定されると肋骨が動かなくなります。ご家族に協力してもらって、肋骨を動かす練習をしましょう。呼吸をする能力を維持できる率が高くなります。「らりるれろ」を言う練習をして、舌をできるだけ動かすようにしましょう。呼吸がしやすくなったり、食べ物が飲みこみやすくなったりします。

どんな間隔で通院したら良いですか？

1週間に1回～2回の治療をします。1～2か月に1回、サーモグラフィーとエコーで筋肉の代謝状態と線維の太さを調べます。その状況に合わせて治療間隔を打ち合わせております。

なかなか通院できないのですが、治療はできますか？

ご家族の都合や、遠方のため頻繁に通院できない時もご相談ください。ご家族に、家庭でしてもらいたい運動を説明致します。外に出ていないと精神的にも負担がかかるので、通院できる時にご家族で通院されると良いと思います。

筋萎縮性側索硬化症（ALS）に鍼灸治療は効果がありますか？

昨年末から徐々に身体の違和感を覚えていたのですが、脳検査を受けるも異常なし。

良くなるどころか違和感も強くなってきたので、病院で再度検査したところALSと診断されました。

リルゾールをしているのですが、すこしでも良くなればと思って鍼治療を併用してみようと思っています。筋萎縮性側索硬化症は鍼治療でよくなりますでしょうか？

長野県Ｓ.Ｓ.様

鍼治療をすることで、舌や呼吸筋の萎縮を緩やかにできることが多くあります。早めに治療を始めましょう。

筋萎縮性側索硬化症は、患者様の進行に差がある疾患です。脳内のエンドカンナビノイドの量で差が出るという報告があるのですが、電気鍼で自分が持っている内因性カンナビノイドを活性化することができます。副作用のない安全な方法なので萎縮の進行や関節の拘縮のリハビリに効果的です。

詳しくは、 ＡＬＳの鍼治療 をご覧ください。

院長吉池弘明