イップスは、鍼灸治療で治りますか？

イップスという病気はないのですが、職業的ジストニアの一種です。精神的に極度の不安があると、インナーマッスルがけいれんして特定の動作が取れなくなります。精神的な縛りが大きいほど、イップスの動作が大きく制限されます。性格的に繊細な方がなりやすい病気です。

神経内科を受診します。もし、脳の腫瘍等が疑われる場合は、神経内科の先生が脳外科の先生を紹介してくれます。お薬の副作用が原因の場合も治療は神経内科でします。お薬の副作用が心配な方は鍼灸院での治療も効果的です。

イップスが発症してからの期間とイップスが起こった精神的なストレスの強さによります。イップスは精神的な重圧が起こった動作の前でインナーマッスルがけいれんしますが、できなかった動作の回数が多い程、治りにくくなるので早めに治療することがおすすめです。

安定剤や睡眠薬が原因で起こることが知られています。お薬を出されている神経内科の先生に相談してお薬を変えてもらうか、量を減らす相談をしましょう。神経内科の先生の中にはお薬の量を減らすことや、お薬が原因のジストニアについて否定的な先生もいることがあるので、そうしたケースでは大きな病院でセカンドオピニオンを考えるのも効果的です。

イップスが起きている筋肉を特定するのが困難なので、ボトックス改善するのは不向きだと思います。私はボトックスを打つ立場ではないのですが、かえって力が入らなくなってしまう可能性や患者様の精神状態、抗体ができると効きが悪くなる等の要素が絡むので、打ち手の職人技に頼る要素が多い治療だと思います。

ある動作をとろうとすると、体がそこで止まります。野球を投げようとすると投げる動作で止まることや、ボクシングで相手を殴ろうとすると瞬間的に止まることや、テニスでボールを打とうとすると体がこわばること、ゴルフのパットで体が固まること等があります。

イップスの発症からの時期を選んで、技能がある鍼灸師が施術をすれば治療効果が上がります。ただ鍼灸師は職人なので、鍼灸師の技能や知識にかなりのばらつきがあるのが現状です。イップスの治療には、分院が多い鍼灸院よりも開業歴の長い鍼灸院が良いと思います。また、サーモグラフィーやエコーのような検査器機の設備がある鍼灸院がおすすめです。

イップスはスポーツによって現れる部分がちがうので、サーモグラフィーで全身の温度をマッピングして異常がある部分に鍼治療をしています。

精神的なストレスにより軽症～重症まで多岐にわたります。時間経過だけが重症度の要因ではないので、発症から時間が経過していても良くできることも多くあります。