前十字靭帯損傷は、鍼灸治療で治りますか？

前十字靭帯手術後の鍼治療
前十字靭帯の手術を受けてリハビリが終了した患者様に、膝の炎症を防ぐドナー筋腱を採取した後のハムストリングのケア、膝の変形予防、再断裂の予防をする鍼治療を提案しています。

手術後の炎症
サーモグラフィーで手術後の膝を確認すると、手術後、5年経過しても膝の温度に左右差があることが多いです。炎症があると膝の変形が進むことが多いので、膝の炎症を抑える鍼治療をしています。

ハムストリングのケア
前十字靭帯の再建に使う筋腱を採取した後に、女性では痛みが続くことが多くあります。男性では筋力の低下で足の動きの異常が出ることがあります。痛みのケアとともに、細くなった靭帯や筋線維を強くする鍼治療をしています。

再断裂のケア
男性の場合、手術側の前十字靭帯を再断裂することが多いです。女性の場合、逆膝の前十字靭帯を断裂することが多いです。男性の場合では股関節と膝関節の運動連鎖が乱れているケースが多いので、インナーマッスルを柔らかくすることで運動連鎖を整える鍼治療をしています。女性の場合、ホルモンのバランスで靭帯が弱くなる時期に断裂するケースが多いので、ホルモンバランスを整える鍼治療をします。

前十字靭帯損傷の鍼治療
成長期のお子様や、中高年の前十字靭帯損傷ではすぐに手術ができないケースも多くあります。また、激しい運動をしないため手術をされない方も多いです。そんな患者様に、膝の状態を良好に保つための鍼治療をします。

成長期のお子様
身長が伸びる時期に膝の軟骨にドリルで穴をあけてしまうと、成長ともに膝が曲がってしまうので、成長が止まるまで前十字靭帯の手術をされない方がほとんどです。そんな方に運動連鎖を整えて、膝の軟骨を保護する鍼治療をしています。膝サポーターを併用することで膝崩れも防ぐことができるので、成長が止まるまでの間、膝を良好な状態に保つことができます。

手術準備の患者様
前十字靭帯の断裂、再建手術を受ける場合、膝の腫れが引いてから手術をされます。手術前に膝を曲げて歩く保護姿勢を続けていると、膝を曲げて歩くことが習慣となり手術後の回復が遅れたり、手術後の膝崩れや膝の変形がすすんだりする原因となります。手術前に鍼治療をすることで筋力の低下や、軟骨の損傷を防いで手術をしやすい環境を作ることができます。

手術を希望されない患者様
激しい運動をされない方や、膝の変形がある方、糖尿病の方は前十字靭帯断裂の再建手術を希望されない方が多いです。不全断裂では、鍼治療で膝の栄養状態を良くすることで前十字靭帯の再生を高めます。完全断裂では、膝の運動バランスを整えて膝崩れや変形を防ぐ鍼治療をします。

膝サポーターでの治療
私たちは、市販の膝サポーターを 固定用、 再発防止用、 予防用、 保護用に分けて使うことで前十字靭帯損傷の治療をしています。

膝サポーターを使って左右の膝の重心バランスを合わせると、前十字靭帯に負担がかからない体の動きが自然に身につきます。運動域を固定するために使うドンジョイのような装具に比べて、心理的、精神的な安心感に加えて、 膝の感覚と脳の感覚を一致させて再負傷を防ぐことができる効果的な方法です。

負傷直後
患側の膝に前十靭帯損傷の専用膝サポーターを使います。健側の膝には軟骨の保護を兼ねて 予防用の膝サポーターを使います。運動域を固定してしまう装具と違い、 自然な両脚の動きが再現されるので、膝の血腫の引きが早くなります。筋線維が細くなることや、膝崩れの恐怖から脳が緊張して運動バランスが崩れることが防げます。合わせて両手にクラッチ杖を使うと効果的です。

回復期
膝の腫れや炎症が治まり出したころには、 再発防止用の膝サポーターや 予防用の膝サポーターで左右の足の荷重バランスを整えます。男性の場合は股関節と足関節の動きが悪いため前十字靭帯を損傷することが多いので、股関節、膝、足首の運動連鎖が整い前十字靭帯の再負傷を防ぐことができます。女性の場合は、ホルモンバランスから靭帯が弱くなる期間があるので、左右の荷重を整えることで逆膝の前十字靭帯損傷を防ぐことができます。

安静を保てる時
膝関節は体の中でも体温が低くケガをすると治りにくい部分です。膝を保温することで、膝の血液循環が改善され自然治癒力が高まります。使用する 保護用のサポーターは1～2サイズ大きめを使うことが回復のコツです。 前十字靭帯の膝サポーター集へ

モアレトポグラフィー
体の重心バランスを調べます。

体の重心バランスが崩れていると、片膝に負担がかかり前十字靭帯を損傷することや、再発を繰り返すことが多くなります。手術後の患者様でも重心のバランスがずれている方が多いです。重心のバランスを整える治療をすることで、自然な体の動きが戻ると、前十字靭帯損傷の回復を早めたり再発を防止したりすることができます。

前十字靭帯損傷の原因までさかのぼって治療するために必要な検査です。

サーモグラフィー
体温の異常を探します。

筋力の低下や関節炎があると体温の異常として現れるので、全身の体温分布を調べて左右で比べます。温度の低い部分の筋線維を調べて治療をしたり、温度の高い関節の炎症を整えたりすることで、膝関節だけに負担が集中しない状況に運動連鎖を整えます。

前十字靭帯損傷の回復を早め、再発を防止するために必要な検査です。

エコー
筋繊維の萎縮を調べます。

左右の筋繊維の萎縮を調べることで、膝の運動状態を確認します。脚の筋線維の左右差があると、ジャンプ、着地、ターンで片膝に負担が集中するようになります。細くなった筋繊維を直接治療して左右のバランスをとることで、前十字靭帯損傷の回復を高め、再発や再断裂と防止することができます。

前十字靭帯損傷の回復を早め再発を防止するために必要な検査です。