脊髄小脳変性症の鍼灸治療|改善例と患者さんの体験談

脊髄小脳変性症(SCD)と診断され、「進行を抑える治療を続けながら経過を見ていく」と言われたとき。将来の見通しが立たない状況に、強い不安を感じておられませんか?
もちろん、病院での標準治療は、お身体を支える上で非常に重要です。しかしその一方で、治療を続けながらも、歩行のふらつきや話しにくさといった「日常生活での困りごと」がどうしても残ると感じている方も少なくありません。
長野県須坂市にある当院では、40年間にわたりのべ72,000人の患者さんと向き合ってきました。その中で、施術を継続することで「以前より動きやすくなった」という変化を実感される方に、私たちは数多く出会ってきました。
「鍼灸を取り入れることで、具体的にどのような変化が期待できるのか?」
こうした疑問に対し、当院での体験例をご紹介します。あなたと似た状況にある方の経験が、今後の選択を考える上での一つの判断材料になれば幸いです。
【症例①】50代女性:SCA31型・3ヶ月の経過と歩行の変化

「狭い場所が怖い」から「自信を持って歩ける」まで
東京都から来院された50代女性(Aさん)のケースです。
SCA31型は日本人特有の遺伝性SCDで、50〜60代で発症することが多く、歩行時のふらつきや呂律が回りにくくなる「純粋小脳失調」が主な症状です。
この女性も、家の中の廊下や階段、スーパーの棚の間など、狭い場所でバランスを崩しやすく、外出を控えるようになっていました。
当院では、エコーで脳への血流の状態を確認しながら鍼灸治療を行います。また、サーモグラフィなども参考にしながら、足底の感覚や体のバランスを見てリハビリを継続しました。
治療開始から3ヶ月が経過する頃には、「足の裏が地面を捉えやすくなった感じがする」といったご本人の感覚の変化がみられ、日常生活での歩行にも改善がみられました。
※変化の現れ方には個人差があります。
SCA31型だからこそ「機能維持」が最大の武器になる
SCA31型は、他のタイプに比べて進行が比較的ゆっくり(緩徐)であるという特徴があります。
つまり、早い段階で鍼灸治療を取り入れ、小脳への血流と神経伝達を良好に保つことができれば、自立した生活を長く維持できる可能性が非常に高いのです。
「進行が遅いからこそ、今のうちにできることをする」ことが、10年後の自分を守る鍵となります。
【症例②】60代男性:SCA3型・転倒が減少した経過

足のつっぱり(痙縮)を和らげ、歩行の質を変える
東京都から来院された60代男性(Bさん)のケースです。
日本で最も多い病型であるSCA3型(マシャド・ジョセフ病)では、ふらつきに加えて、筋肉が硬くつっぱる「痙縮」や、むせ込みなどの症状が現れやすくなります。
この男性は、足が棒のように突っ張ってしまい、小さな段差でもつまずいて転倒し、怪我を繰り返す日々を過ごしていました。
当院では、サーモグラフィで足の緊張状態を確認しながら鍼灸治療を行います。また、エコーで下肢の血流を確認しながらリハビリを継続しました。
継続する中で足首の動きに変化がみられ、ご本人からは「以前よりつまずきにくくなった」といった実感が聞かれるようになりました。半年ほど経過した頃には、転倒の頻度にも変化がみられ、奥様との散歩を再び楽しめる場面が増えています。
※変化の現れ方には個人差があります。
筋肉の「こわばり」を解くことが転倒防止への近道
SCA3型において転倒リスクを高める最大の原因は、小脳の命令がうまく伝わらずに起こる「筋肉の過緊張」です。
鍼治療には、この過緊張を抑制し、血流を改善させて筋肉を柔軟にする効果があります。転倒して怪我をし、動けなくなることで症状が加速する悪循環を、鍼灸の力で断ち切ることが可能です。
3.なぜ、脊髄小脳変性症に「鍼灸」が効くのか
3-1.感覚情報を脳へ送り、バランス機能を補助する
小脳は、目や耳、そして手足の筋肉から送られてくる情報を統合して「バランス」を保っています。
SCDではこの司令塔が弱っていますが、鍼刺激を皮膚や筋肉に与えることで、末梢から脳へ強力な「感覚フィードバック」を送ることができます。
これが、運動プログラムの修正を助け、結果として失調症状の軽減に繋がります。実際に、マシャド・ジョセフ病の患者さんに電気刺激を与えたところ、手先の震えが抑えられ、描画動作がスムーズになったという報告もあります。
3-2.客観的なデータが証明する、動きの変化
神経難病患者さんを対象とした調査では、鍼灸などの補完医療を利用している方の51.3%が「動きの改善」を実感しているというデータがあります。
当院ではこの感覚的な変化を、エコーによる血流測定やサーモグラフィによる体温変化で客観的に捉えます。
「どこが原因で動きにくいのか」を可視化し、適切な周波数での刺激を与えるニューロモデュレーション(神経調節)的なアプローチを行うことが、当院の治療が「効く」と言われる理由です。
4.「もう治らない」と諦める前に

脊髄小脳変性症は、現代医学でも完治が難しいとされている病気です。
そのため「この先どうなるのか分からない」という不安を抱えたまま、時間だけが過ぎてしまう方も少なくありません。
しかし鍼灸治療の現場では、体の使い方やバランスの取り方を丁寧に見ていくことで、「歩きやすくなった」「ふらつきにくくなった」といった変化を感じる方がいらっしゃるのも事実です。
だからこそ大切なのは、「この病気はどうなるのか」と考え続けることではなく、「今の自分の体で、何ができるのか」を具体的に知ることです。そして、悪化防止のための行動を起こすようにしましょう。
5.まとめ
- SCA31型
進行が緩やかなため、鍼灸での感覚刺激が歩行安定に非常に有効。 - SCA3型
筋肉のつっぱりを和らげることで、転倒リスクを大幅に下げられる。 - 医学的根拠
鍼刺激による脳へのフィードバックが、バランス機能を補完する。 - 当院の強み
のべ72,000人の実績と、エコー・サーモグラフィによる客観的な治療。
脊髄小脳変性症の鍼灸外来
一般的な鍼灸院では行わない「体の状態を客観的に捉える方法」です。
足部の温度変化を確認する検査の一例
「診断はついた。けれど、今の自分の状態がどうなのかは、よくわからない」
「薬を続ける以外に、何を意識すればいいのか、誰も教えてくれなかった」
私たちは、こうした行き場のない不安を抱える患者さんと40年間向き合ってきました。
当院では、サーモグラフィで全身の体温分布を可視化します。
脊髄小脳変性症の方では、 ご本人が感じている歩きにくさやふらつきと一致する形で、 手足の温度分布に左右差が見られることがあります。
その一致を一緒に確認することで、 「なぜ今の動きにくさが出ているのか」を整理する手がかりになります。
この検査には専門機器と解析技術が必要なため、一般的な鍼灸院で行われることはほとんどありません。
まずは、ご自身の状態がどの段階にあるのかを整理してみてください。
そのうえで、「今できる対策があるのか」を具体的に知ることが、これからの生活の質を大きく左右します。
参考文献
この記事は、以下の資料に基づき作成されました。
- 脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン2018(南江堂)
- すべてわかる神経難病医療(中山書店)
- 子供の病気・遺伝について聞かれたら(診断と治療社)
- 脊髄小脳変性症・多系統萎縮症Q&A172(SCD・MSA友の会編)
- 図解 鍼灸療法技術ガイド I / II(文光堂)
- 神経内科2013 神経内科診療における鍼灸治療(科学評論社)
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当院について
森上鍼灸整骨院
院長 吉池 弘明
森上鍼灸治療では、西洋医学の代替医療として鍼灸治療に取り組んでいます。 顔面神経麻痺や突発性難聴の患者様には、臨床経験20年以上の鍼灸師がチームを組んで治療にあたります。
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