顔面神経麻痺の鍼治療は、なぜ「保険」が効かないのですか?|国の基準と、私たちが「技術」で選ばれる理由

なぜ鍼治療で「保険」が効かない?知らなかった国の基準と、それでも私たちの「技術」が多くの方に選ばれる理由とは?

「保険が使えたらいいのに…」その疑問にお答えします

顔面神経麻痺の治療は、時間もお金もかかります。 「病院と同じように、鍼治療も保険で安く受けられたら…」 そう思われるのは、当然のことです。
しかし、結論から申し上げますと、顔面神経麻痺に対する鍼治療は、健康保険の対象外(自費診療)となります。

なぜ、国はこれを保険として認めないのでしょうか? そこには、単なる「予算」の問題だけでなく、「鍼治療という技術の特殊性」や「あなたが受けるべき治療の質」に関わる、深い理由があります。

この記事では、少し専門的な医療制度の裏側と、「保険が効かなくても、多くの患者様が当院を選ぶ理由」について、包み隠さずお話しします。

1.鍼治療は「規格化」できない職人技だからです

鍼灸師は職人

日本の保険制度(標準治療)は、素晴らしい仕組みですが、一つの絶対的なルールがあります。 それは、「全国どこでも、誰がやっても、同じ結果が出る治療(規格商品)」でなければならない、ということです。

お薬(ステロイド)であれば、どの先生が処方しても成分は同じです。 しかし、鍼治療は違います。

  • 鍼を打つ深さ
  • 指先の感覚
  • ツボの選び方

これらは、術者(鍼灸師)の技量によって、結果が天と地ほど変わります。 ある鍼灸院では劇的に良くなっても、別の院では全く効果がない、ということが起こり得るのです。

国としては、このように「再現性がなく、術者のレベルに左右される職人技」に、一律の保険点数をつけることができません。 これが、顔面神経麻痺の鍼治療が保険適用にならない(そして今後もなる可能性が低い)最大の理由です。

2.「標準治療」になるためのハードル(論文の数)

ある治療が保険適用(標準治療)になるためには、大学病院などが「これは誰がやっても効く」という論文(エビデンス)を大量に出す必要があります。
『顔面神経麻痺診療ガイドライン 2023年版』では、鍼治療の評価が以前より上がり、「行うことを弱く推奨する」という位置づけになりました。 これは大きな前進ですが、まだ「誰がやっても効く(エビデンスが確実)」というレベルには達していません。

なぜなら、鍼治療の研究をしている大学病院がまだ少なく、手作業であるためにデータのばらつきが大きく、論文として確立しにくいからです。

3.もし保険が効いたら…「病院の薬」が貰えなくなるリスクも

もう一つ、制度上の大きな問題があります。 もし、顔面神経麻痺の鍼治療が療養費として保険の補助がでるようになると、耳鼻科での投薬治療が「保険外」になってしまうリスクがあります。

「保険で鍼を受けるなら、病院の薬は自費で払ってください」 国からそう言われてしまったら、本末転倒です。

顔面神経麻痺にとって、初期のステロイド治療は絶対に必要です。 また、その後の、お薬による治療も効果があるため、耳鼻科の先生があえては治療を保険の標準治療にする働きかけを国にすることもありません。

4.【重要】「慢性的な痛み」がある場合は、保険が使える可能性があります

「保険」が使える例外とは?

ここまで「保険は効かない」とお伝えしましたが、実は例外があります。
顔面神経麻痺は、ストレスで免疫力が低下し、ウイルスが暴れだすことで起こります。
もし、あなたが元々、以下のような「慢性的な痛みの病気」をお持ちで、それがストレスの原因(発症の引き金)になっていた場合です。

  • 頚腕症候群(ひどい首や肩の凝り・痛み)
  • 神経痛
  • 腰痛症
  • 五十肩 など

これらの「痛みの治療」に対しては、医師の同意があれば、療養費という形で「保険」が使える場合があります。

顔そのものの治療は自費になりますが、 「原因となった首や肩の痛みを、保険を使って治療し、ストレスを減らして顔の治癒力を高める」 というアプローチは可能です。

これなら、経済的な負担を少し減らしつつ、全身の調整を行うことができます。 (※適応には条件がありますので、詳しくはご相談ください)

【結論】「顔面神経麻痺」の治療は、あなただけの基準で

顔面神経麻痺の治療は、耳鼻科の先生の基準で治療効果が判断されます。ただ、女性や未婚の男性では標準治療の判断基準では納得されないことが多いです。そうしたケースでは、お薬の治療と併用して鍼治療をすることがお勧めです。保険診療と違い、患者さんごとのオーダーメイドの治療を提案することも可能です。

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比較的、治療が落ち着き、ゆっくりお話を伺える「13時から17時に」相談されるのがおすすめです。

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【参考文献】

  • ・療養費の支給基準(社会保険研究所)
  • ・顔面神経麻痺診療ガイドライン 2023年版(金原出版株式会社)
  • ・顔面神経麻痺治癒への10の鍵(医学書院)

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