顔面神経麻痺と診断された方へ|後遺症を防ぎ、回復を早めるための「正しい過ごし方」

顔面神経麻痺の発症は突然のことで、鏡を見るたびに不安が募り、「早く治したい」と焦ってしまうことと思います。しかし、良かれと思って行う「無理なリハビリ」が、かえって後遺症(病的共同運動など)を招く原因になることをご存知でしょうか?
大切なのは、神経の回復リズムに合わせた「正しいケア」と「安静」です。あなたの将来の笑顔を守るために、今日から実践できる過ごし方をまとめました。
1.「温める」ことが再生のスイッチ
ステロイド点滴などの急性期治療(パルス療法)を終えたら、徹底して体を温めましょう。血流を良くすることで神経の腫れを引かせ、再生力を高めます。
◆入浴法の見直し
シャワーだけで済まさず、湯船に浸かることが重要です。
- ・温度: 39度〜40度(ぬるめのお湯)
- ・深さ: 顎(あご)の下までしっかり浸かります。
- ・時間: 15分〜20分かけてゆっくり温まり、体温を一度上げるイメージで入浴します。
◆24時間の保温ケア
・就寝時: ネックウォーマーを使用し、首元の神経を冷やさないようにします。
・日中: マスクの着用がおすすめです。サーモグラフィによる検証でも、マスクをするだけで口周りの筋肉の保温性が高まることが分かっています。耳に負担のかからないゴムの緩いものを選びましょう。
※注意: 患部は血行不良になりやすいため、冷たい風やクーラーの風が直接当たらないように徹底してください。
2. 「目の保護」は最優先事項(角膜を守る)

麻痺により瞼(まぶた)が完全に閉じないと、目が乾燥し、角膜を傷つけるリスクがあります。角膜は一度傷つくと再生しません。 最悪の場合、移植が必要になることもあるため、厳重な保護が必要です。
◆昼と夜の使い分け
・日中: 「花粉症用の保護メガネ」を使用します。眼帯よりも保護メガネの方が、光を取り入れつつ保護できるため、麻痺の回復には有利とされています。
・就寝時: 眼帯や医療用テープ(メパッチなど)を使用します。眼帯は、目を閉じた状態(筋肉が縮んだ状態)の上から装着することで効果が高まります。
◆【極めて重要】保護メガネ着用時の「沈黙のルール」
日中に保護メガネを使用している間は、以下のルールを絶対に守ってください。
・「口を絶対に動かさないこと」
保護メガネをした状態で口を動かすと、目と口の神経が誤って繋がってしまう「混合再生(病的共同運動)」のリスクが高まります。
・会話はしません。
会話を求められた場合は、ジェスチャーで断ってください。 この徹底が、きれいな治癒への近道です。
3.「頑張らない」勇気を持つ(運動・リハビリ)
「リハビリ=筋トレ」というイメージがあるかもしれませんが、顔面神経麻痺においては発症初期〜回復期(3〜4ヶ月頃)の筋トレは禁忌(やってはいけないこと)です。
◆やってはいけないこと(NG行動)
以下の動作は、神経の迷入再生(誤った回路での再生)を促し、「口を動かすと目が閉じる」などの後遺症を悪化させます。
・強力な顔面運動:
口笛を吹く、頬を膨らませる、強く目を閉じる、百面相をする。
・電気刺激:
家庭用の低周波治療器などは、病的共同運動を誘発するため絶対に使用しないでください。
◆推奨される食事の作法
食事は毎日のことですが、ここにも工夫が必要です。
・「目を閉じてから、口を動かす」:これを徹底します。
・麻痺側に眼帯をして食事をすると、目の筋肉が保護されるため効果的です。
・食べこぼしを防ぐため、手で口角を支えたり、反対側の歯で噛むようにします。
◆仕事について
パソコン作業など「口を動かさずにできる仕事」であれば問題ありません。しかし、目と口を別々に動かすことが難しい状況であれば、休養を優先してください。
4.心と体の休息

顔面神経麻痺(ベル麻痺やハント症候群)の多くは、疲労やストレスによる免疫力低下がきっかけで、体内に潜んでいたウイルスが再活性化して起こります。
・ストレス管理:
ストレスは回復の敵です。無理のない範囲で社会生活を送りつつ、リラックスできる時間を確保してください。
・外見のケア:
帽子、眼鏡、マスク、スカーフなどを活用して患部をカバーしたり、メイクで左右差を補正することで、精神的な負担を軽減できます。
ひとりで悩まず、専門家と歩む回復への道
ここまでお読みいただき、「今やっているマッサージの強さは正しいのか?」「このピクピクする症状は回復の兆しなのか?」など、新たな疑問や不安が湧いてきた方もいらっしゃるかもしれません。
顔面神経麻痺の治療は、「時期に応じた正しい判断」が予後を大きく左右します。間違った努力を避けるためにも、不安な点は早めに解消することが大切です。
当院では、あなたの回復段階に合わせた具体的なアドバイスを行っております。
▼「今のケアが合っているか不安」という方は、まずは【無料電話相談】をご利用ください。
専門スタッフが丁寧にお話を伺います。
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顔面神経麻痺のご相談は、症状が複雑なため、すべて院長または専任の鍼灸師が直接対応しております。
午前中は他の患者様の集中治療に入っていることが多く、お電話になかなか出ることができないことがあります。
比較的、治療が落ち着き、ゆっくりお話を伺える「13時から17時に」相談されるのがおすすめです。
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正しい知識とケアで、必ず光は見えてきます。焦らず、まずは今日できる「温めること」から始めましょう。
より詳しい治療法については、以下のページで詳しく説明しています。
【顔面神経麻痺は、鍼灸治療で良くなりますか?(詳細はこちら)】
【参考文献】
・顔面神経麻痺が起きたらすぐ読む本(PHPエンターズ・グループ)
・顔面神経麻痺のリハビリテーション(全日本病院出版会)
・顔面神経麻痺治癒への10の鍵(医学書院)
・ストレスハンドブック第2版(メディカル・サイエンス・インターナショナル)
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当院について
森上鍼灸整骨院
院長 吉池 弘明
森上鍼灸治療では、西洋医学の代替医療として鍼灸治療に取り組んでいます。 顔面神経麻痺や突発性難聴の患者様には、臨床経験20年以上の鍼灸師がチームを組んで治療にあたります。
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