脊髄小脳変性症の鍼灸治療|運動失調への効果とツボの選び方

脊髄小脳変性症の診断を受け、病院でセレジスト(タルチレリン)などの投薬治療を続けているものの、「歩きにくさが進んできた」「手の震えでボタンが留めにくい」といった症状に不安を感じていらっしゃいませんか?
脊髄小脳変性症の治療において大切なのは、標準治療を継続しながら、今ある体の機能をいかに引き出し、維持していくかという視点です。
当院では、運動失調(測定障害・協調運動障害)に対して、客観的な検査データ(サーモグラフィ・エコー・重心分析)をもとに組み立てる当院独自の鍼治療を行っています。
今回は、鍼灸がどのように運動失調に働きかけるのか、そのメカニズムと具体的なアプローチについて分かりやすく解説します。
1. 運動失調に対して鍼灸がどのように働きかけるのか

運動失調は、脳や脊髄の神経がスムーズに情報を伝えられなくなることで起こります。鍼灸治療は、以下の3つのアプローチでこの問題をサポートします。
1-1. 異常な筋緊張を解きほぐす
ふらつきやバランスの悪さを補おうとして、体は無意識に力が入ります。特に首の後ろ、背中、足の筋肉がガチガチに固まってしまう「痙縮(けいしゅく)」という状態になりがちです。
鍼でこれらの筋肉を刺激することで血流を促し、筋肉のこわばりを取り除いて、動作をスムーズにします。
1-2. 「体のバランスセンサー」を整える
私たちは、耳の奥にあるセンサー(前庭系)と首の筋肉が連携してバランスを保っています。
首まわりの過度な緊張を鍼で和らげると、脳に送られる感覚情報が正しく整理され、めまいやふらつきが軽減しやすくなります。
1-3. 脳や脊髄の血流をサポートする
手足や頭への鍼刺激は、神経系を介した血流変化が報告されており、それが運動機能の補助に関与する可能性が考えられています。
血流が良くなることで、低下した脳機能をバックアップし、運動のプログラミング(協調運動)を助けるのです。
なお、脊髄小脳変性症の標準治療は、薬物療法やリハビリテーションが中心とされており、鍼灸治療については診療ガイドラインに明確な記載はありません。
そのため、本記事では「標準治療を補完する一つの方法としての考え方」をご紹介しています。
2. 症状に合わせたツボの選び方

脊髄小脳変性症にはいくつかのタイプがありますが、当院ではお一人おひとりの症状に合わせてツボを使い分けています。
2-1. 小脳型(ふらつき・めまいが中心の方)
小脳の機能低下による平衡障害には、頭や首まわりのツボを重視します。
- 百会(ひゃくえ)
頭のてっぺんにあり、脳の血流を促して自律神経を整える「要(かなめ)」のツボです。 - 風池(ふうち)・天柱(てんちゅう)
後頭部の生え際にあり、バランスを保とうとして固まった筋肉を緩め、ふらつきを直接的に和らげます。
2-2. 脊髄型(足のつっぱり・しびれが中心の方)
背骨の通り道である「督脈(とくみゃく)」というラインを中心にアプローチします。
- 大椎(だいつい)
首の付け根にあり、全身の巡りを良くして脳・脊髄系に刺激を伝えます。 - 至陽(しよう)・筋縮(きんしゅく)
背中の中心にあるツボです。特に「筋縮」はその名の通り、筋肉のひきつりや痙攣(けいれん)を抑える特効穴として知られています。
3. 当院独自の治療方法:刺鍼とパルス療法
当院では、ただ鍼を刺すだけでなく、特殊な技術を用いて効果を高めています。
- 交叉刺(こうさし)と旋撚(せんねん)
筋肉の繊維に対して交差するように鍼を刺し、左右に回す技術です。これにより筋肉の血流を劇的に改善し、動きを助けます。 - 低周波鍼通電(パルス)
鍼に微弱な電気を流す方法です。筋肉を優しく動かすことで、使われずに衰えてしまう「廃用性萎縮」を防ぎ、つっぱりを強力に和らげます。 - 神経刺激法
神経の通り道に沿って刺激を加え、しびれや感覚の変化に対して反応を引き出すことを目的とした方法です。
4. まとめ:リハビリとの相乗効果

鍼灸治療で筋肉が緩み、血流が改善された「直後」にリハビリを行うことは、非常に理にかなっています。
実際、当院に通われる患者さんの多くが、鍼治療とリハビリを組み合わせることで、歩行や構音の改善を実感されています。
私たちは、エコーで血流の状態を、サーモグラフィで自律神経の状態を確認し、モアレトポグラフィで重心を分析するといった、客観的なデータに基づいた治療を行っています。
「少しでも楽に動けるようになりたい」「進行を食い止めたい」という願いを、私たちは全力でサポートします。
脊髄小脳変性症の鍼灸外来
一般的な鍼灸院では行わない「体の状態を客観的に捉える方法」です。
足部の温度変化を確認する検査の一例
「診断はついた。けれど、今の自分の状態がどうなのかは、よくわからない」
「薬を続ける以外に、何を意識すればいいのか、誰も教えてくれなかった」
私たちは、こうした行き場のない不安を抱える患者さんと40年間向き合ってきました。
当院では、サーモグラフィで全身の体温分布を可視化します。
脊髄小脳変性症の方では、 ご本人が感じている歩きにくさやふらつきと一致する形で、 手足の温度分布に左右差が見られることがあります。
その一致を一緒に確認することで、 「なぜ今の動きにくさが出ているのか」を整理する手がかりになります。
この検査には専門機器と解析技術が必要なため、一般的な鍼灸院で行われることはほとんどありません。
まずは、ご自身の状態がどの段階にあるのかを整理してみてください。
そのうえで、「今できる対策があるのか」を具体的に知ることが、これからの生活の質を大きく左右します。
参考文献
- 脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン2018(南江堂)
- 図解 鍼灸療法技術ガイド I / II(文光堂)
- 最新鍼灸治療学(上巻・下巻)(医道の日本社)
- 東洋医学見聞録(上巻・中巻・下巻)(医道の日本社)
- 神経内科2013 神経内科診療における鍼灸治療(科学評論社)
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当院について
森上鍼灸整骨院
院長 吉池 弘明
森上鍼灸治療では、西洋医学の代替医療として鍼灸治療に取り組んでいます。 顔面神経麻痺や突発性難聴の患者様には、臨床経験20年以上の鍼灸師がチームを組んで治療にあたります。
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