脊髄小脳変性症の鍼灸治療|実感できる変化と継続の重要性

「鍼灸(しんきゅう)治療を始めてみたいけれど、一体何回くらい通えば効果が出るの?」 「一度良くなっても、ずっと通い続けなければならないの?」
脊髄小脳変性症(SCD)と向き合う患者さんやご家族にとって、通院の期間や頻度は非常に気になるポイントだと思います。
当院では、一つの目安として**「ワンクール14回」**という基準を設けています。なぜこの回数なのか、そしてなぜ「継続」が病気の進行を遅らせる鍵になるのか、医学的な根拠をもとに分かりやすく解説します。
1. 「何回で効果が出る?」――体が変化を覚える「14回」の理由
鍼灸治療は、1回の施術で劇的にすべてが解決する魔法ではありません。しかし、回数を重ねるごとに効果が積み重なっていく**「累積効果(るいせきこうか)」**という特徴があります。
効果の貯金をつくる
初めての治療では、効果が数時間から数日しか持続しないこともあります。しかし、適切な間隔で治療を繰り返すと、体が「良い状態」を記憶し始め、効果の持続期間が少しずつ延びていきます。 医学的にも、神経症状の変化を見極め、長期的な安定を得るためには10回以上の継続が一区切り(ワンクール)とされています。当院で「14回」を一つの目安にしているのは、この累積効果をしっかりと定着させるためです。
あなたに合わせたオーダーメイドの計画
もちろん、お体の状態は一人ひとり違います。 「最初は集中的に通って変化を出し、安定してきたら徐々に間隔を空けていく」といったように、患者さんの体調や通院のご事情に合わせて、最適なプランを一緒に考えていきますのでご安心ください。
2. なぜ「継続」が絶対に不可欠なのか
脊髄小脳変性症は、ゆっくりと進行していく性質を持っています。だからこそ、その進行スピードに「ブレーキ」をかけ続けることが重要です。
「効果の戻り」を防ぐために
研究データによると、脊髄小脳変性症の患者さんに集中リハビリテーションを行った直後は、歩行速度などが大きく改善します。その効果は約3ヶ月維持されますが、何もしないまま半年が経過すると、徐々に元の状態に戻ってしまう傾向があることが分かっています。
せっかく鍼灸で筋肉がほぐれ、歩きやすくなっても、完全に治療をやめてしまうと、病気の進行や「使わないことによる筋力低下(廃用)」によって、再び歩きにくさが出てしまいます。 良い状態を維持し続けるためには、定期的に「体のメンテナンス(鍼灸)」を行い、機能を呼び起こし続けることがどうしても必要なのです。
3. 長期継続が「未来の自分」を守る
「通い続けることで、本当に病気の進行が抑えられるの?」という疑問にお答えします。
数年単位で差が出るというデータ
脊髄小脳変性症と同じく進行性の神経難病であるパーキンソン病の調査では、「お薬だけのグループ」よりも「お薬と鍼灸を5年間続けたグループ」の方が、運動機能の悪化が明らかに抑えられていたという貴重なデータがあります。
SCDにおいても、鍼灸を諦めずに継続することで、
- 筋肉のガチガチな緊張を防ぐ
- 脳や神経への血流を維持する
- 痛みを和らげ、リハビリを続けやすくする といったメリットが積み重なり、車椅子生活や寝たきりになる時期を遅らせ、ご自宅で自立して過ごせる時間を延ばすことが十分に期待できるのです。
4. まとめ:私たちは「長く伴走する」パートナーです
脊髄小脳変性症との闘いは、短距離走ではなく、長い道のりを歩むマラソンのようなものです。 当院では、エコーやサーモグラフィなどの検査で定期的にお体の変化を確認し、「今、どのくらいの頻度で通うのがベストか」を常に客観的に判断します。
「何回通えばいいのか」という不安を、「ここまで通えば安心だ」という確信に変えられるよう、私たちはあなたの人生に長く寄り添い、サポートし続けます。
脊髄小脳変性症の鍼灸外来
一般的な鍼灸院では行わない「体の状態を客観的に捉える方法」です。
足部の温度変化を確認する検査の一例
「診断はついた。けれど、今の自分の状態がどうなのかは、よくわからない」
「薬を続ける以外に、何を意識すればいいのか、誰も教えてくれなかった」
私たちは、こうした行き場のない不安を抱える患者さんと40年間向き合ってきました。
当院では、サーモグラフィで全身の体温分布を可視化します。
脊髄小脳変性症の方では、
ご本人が感じている歩きにくさやふらつきと一致する形で、
手足の温度分布に左右差が見られることがあります。
その一致を一緒に確認することで、
「なぜ今の動きにくさが出ているのか」を整理する手がかりになります。
この検査には専門機器と解析技術が必要なため、一般的な鍼灸院で行われることはまずありません。 感覚や印象だけに頼らず、今の体の状態を落ち着いて見つめたい方のための情報提供の場として、 ご相談をお受けしています。
参考文献
- 『トリガーポイント鍼療法』 P.E.Baldry 著、川喜田健司 監訳(医道の日本社)
- 『医家のための わかりやすい鍼治療』 渡邊裕 著(金芳堂)
- 『脊髄小脳変性症のリハビリテーション-新しい治療戦略から緩和ケアまで』 (JOURNAL OF CLINICAL REHABILITATION) (医歯薬出版株式会社)
- 『神経内科2013 神経内科診療における鍼灸治療』 (Neurological Medicine) (科学評論社
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当院について
森上鍼灸整骨院
院長 吉池 弘明
森上鍼灸治療では、西洋医学の代替医療として鍼灸治療に取り組んでいます。 顔面神経麻痺や突発性難聴の患者様には、臨床経験20年以上の鍼灸師がチームを組んで治療にあたります。
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