改善しない突発性難聴でお悩みの方へ

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突発性難聴の最新治療

突発性難聴の鍼治療に取り組む鍼灸師 吉池 美奈子

更新 2026.08.24

突発性難聴の治療法について教えてください。

突発性難聴の治療法について教えてください。新潟県 M.S.さん

いろいろな治療を試したいのですが、良くするためにどんな治療方があるか教えてもらえますか?

新潟県 M.S.さん

お薬の治療とそれ以外の治療があります。

お薬の治療は、ステロイド、アデホスコーワ、メチコバールです。ステロイドは取り込み方により、飲み薬、点滴、鼓膜への注射があります。後は、高圧酸素や鍼治療といった物理的な治療をすることが多いです。

まだ、通常の病院では行なわれていませんが、rhoキナーゼ阻害薬やゼラチンハイドロゲルによるインスリン様細胞増殖因子1型(IGF1)の内耳局所への投与も一部の大学病院で行なわれました。突発性難聴の原因を究明した新しい治療法が徐々に始まりだしています。

従来のステロイドの治療よりも効果が上がると発表されています。

副院長 吉池 美奈子

  • この記事の執筆者

    森上鍼灸整骨院 副院長 吉池 美奈子

    森上鍼灸整骨院 副院長 吉池 美奈子

    【資格・経歴】
    ・厚生労働大臣認定:はり師/きゅう師/柔道整復師

    実家は宮崎の名門鍼灸院。患者さんとスタッフへの配慮、院長のサポートを常に欠かさない面倒見の良い二児の母。

    自らがジストニアを経験したことから、神経内科の鍼治療を中心に取り組み、患者さんとご家族の双方に寄り添った治療の提案を心がけている。

    座右の銘は、「1番、患者さんの役に立つ人間になる」。

  • 突発性難聴の治療法

    突発性難聴を治すには、治療法を知ることが大切です。お薬の治療は効果的なのですが、副作用に悩まれることが多いです。高圧酸素や鍼治療も物理的な刺激がかかるので不得意な方がいます。

    ただ、時間の経過とともに治りにくくなるので、先生と相談しながらできることは前倒しで治療をしましょう。

  • Rhoキナーゼ阻害薬(ファスジル)

    脳血管けいれんを防ぐ薬を応用した治療で、大阪大学から聴力改善の報告があります。

    Rhoキナーゼ阻害薬(ファスジル)を使った突発性難聴の治療で、聴力が大きく改善したという報告が、大阪大学と関連病院から発表されています。

    副院長 吉池 美奈子

    1. ファスジルって、もともと何の薬?

    くも膜下出血のあとの脳血管けいれんを防ぐために使われてきた薬です。

    ファスジルは、もともと「くも膜下出血のあとに起こる脳血管けいれん」を防ぐための薬で、脳の血管が急に縮んで血流が落ち、神経の軸索が傷つくのを防ぐ目的で使われてきました。Rhoキナーゼという酵素の働きを弱めることで血管の縮みすぎを防ぎ、血流を守り、神経の回復を助ける作用があります。

    2. ファスジルの作用は?

    血管の縮みすぎを防いで血流を守り、神経の回復を助けます。

    Rhoキナーゼという酵素の働きを弱めることで血管の縮みすぎを防ぎ、血流を守り、神経の回復を助ける作用があります。この仕組みが「内耳の血流が急に悪くなることで起こるタイプの突発性難聴」にも応用できるのではないかと考えられました。なお、現在認可されているRhoキナーゼ阻害薬は、ファスジルと緑内障の点眼薬のみです。

    3. ファスジルを使った突発性難聴の治療

    大阪大学の臨床研究では、約10例と少ないものの約9割に聴力の改善が見られました。

    突発性難聴の原因の一つには、内耳の細い血管が急に縮んだり、血流が落ちる「内耳の血管トラブル」があるとされており、研究者たちは「脳血管けいれんを改善するファスジルなら、内耳の血流も守れるのではないか」と考えました。この発想から、大阪大学でステロイド治療にファスジルを追加した臨床研究が行われ、症例数こそ約10例と少ないものの、約9割の患者で聴力の改善が見られました。

    4. 標準治療を外せないという“倫理的な壁”

    ファスジル単独ではなく、ステロイドとの併用という形で行われた研究です。

    この研究は“ファスジルだけ”で行われたわけではありません。「ステロイド+ファスジル」の併用治療という形で行なわれています。突発性難聴は発症後の時間が勝負で、患者さんが同意しづらく、倫理委員会も許可を出しにくい状況だったのかもしれません。

  • IGF-1(インスリン様成長因子1)

    傷ついた細胞の修復を助ける成長因子を、内耳の回復に応用する治療です。

    IGF-1(インスリン様成長因子1)を使った突発性難聴の治療で、聴力が改善したという報告が、京都大学・慶應義塾大学などの研究グループから発表されています。

    副院長 吉池 美奈子

    1. IGF-1(インスリン様成長因子1)って何?

    肝臓でつくられ、組織の再生・修復・維持に関わる成長因子です。

    IGF-1は、もともと「組織の修復を助ける成長因子」として知られ、成長ホルモンの刺激を受けて肝臓で作られ、からだの各組織の再生・修復・維持に関わる物質です。特に、傷ついた細胞の回復を促す作用があるため、「内耳の有毛細胞や神経の修復にも応用できるのではないか」という考えから突発性難聴の研究に取り入れられました。

    2. IGF-1の作用は?

    壊れた細胞を守り修復力を高める働きが、内耳のダメージに期待されています。

    突発性難聴では、内耳の有毛細胞や神経の一部が一時的にダメージを受けることがあり、これが聴力低下の原因になります。「壊れた細胞を守り、修復力を高める」というIGF-1の働きは、この内耳のダメージに対して効果が期待されるのではないかと考えられました。

    3. IGF-1を使った突発性難聴の治療

    IGF-1を鼓膜内へ投与し、約3分の2の症例で聴力の改善が確認されました。

    ステロイド治療で改善が見られなかった突発性難聴の患者に対し、IGF-1徐放ハイドロゲルを鼓膜内へ投与したところ、約3分の2(66.7%)の症例で聴力の改善が確認されたと報告されています。

    4. 一般治療として広げられない“研究段階の壁”

    限られた大学病院での研究段階で、どこでも受けられる治療ではありません。

    ファスジルの研究と同様に、IGF-1の治療も「一般治療としてどこでも受けられる」という段階ではありません。倫理委員会の審査を通した研究として限られた大学病院で行われており、参加には患者さんの同意が必要となります。

  • 古くて新しい鍼灸治療

    標準治療で良くならなかった突発性難聴の88%の患者さんが、鍼治療で改善しました。

    ステロイドの点滴や鼓室内投与、高気圧酸素療法等の標準治療をしても良くならなかった突発性難聴で88%の患者さんが鍼治療で何らかの症状の改善がありました。

    副院長 吉池 美奈子

    1. 突発性難聴の鍼灸治療

    40年前から取り組み、のべ14万人の患者さんを鍼治療してきました。

    私達は、40年前から突発性難聴の鍼治療に取り組んでいます。鍼治療をした突発性難聴の患者さんはのべ14万人で、ほとんどの患者さんが病院で標準治療を受けたけれども良くならなかった患者さんです。

    2. 鍼治療の作用は?

    微細な刺激が成長ホルモンを促し、IGF-1による回復力を引き出すと考えられています。

    鍼治療は、体にごく微細な刺激を与えることで修復反応を促し、成長ホルモンの分泌を高めやすい状態をつくると考えられています。成長ホルモンは肝臓で「インスリン様成長因子1(IGF-1)」をつくらせ、傷ついた細胞の回復や神経の保護に働きます。この自然な再生プロセスが内耳の環境にも影響し、ステロイドとは異なる経路で体の“治ろうとする力(自然治癒力)”を引き出すのが鍼治療の特徴です。

    3. 突発性難聴の鍼治療

    鍼の本数を多くするほど、体の再生力が高まります。

    刺激する鍼の本数を多くするほど、体の再生力が高まります。薬のように強い作用ではありませんが、体の修復力そのものを整えるため、古くて新しい突発性難聴の治療の選択肢として注目されています。私達の治療室では、スケールアウトの改善や聴力の改善、みみなり、耳つまり、めまいに効果がありました。

    4. 鍼灸院ごとに違う“手技療法の壁”

    同じツボでも院ごとに効果が違うため、専門性の高い鍼灸院選びが必要です。

    鍼灸治療は、患者さんを鍼で刺激する治療なので、同じツボを治療につかっても鍼灸院ごとに効果が違う、再現性のない治療法と言われています。そのため、突発性難聴の標準治療で効果がなく後遺症になりつつある状況では、専門性の高い鍼灸院を選ぶことが必要となります。