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多系統萎縮症の最新治療

多系統萎縮症の最新治療を説明する柔道整復師・鍼灸師 吉池 加奈

更新/2025.02.17

多系統萎縮症の最新治療について教えてください。

多系統萎縮症の鍼灸治療 東京都 S.K.さん

できる治療は何でもしようと思っています。立ち眩みで気を失うので、現在は血圧を上げる薬を飲んでいます。多系統萎縮症にはどんな治療がありますか?

東京都 S.K.さん

多系統萎縮症の病理が分かって、いろいろな治験が始まっています。

αシヌクレインの発生を抑える遺伝子治療、神経の抗酸化作用があるコエンザイムQ10を使った治療などで効果が報告されています。しかし、これらの治療は治験の段階で、一般的に受けられる原因そのものを治す治療法はありません。

多系統萎縮症の辛い症状は、お薬を使った対症療法で、ある程度抑えることができます。脳神経を活性化する鍼治療と、鍼治療後すぐに行うリハビリも効果的です。お薬の治療とも併用でき、SARAの数値が改善することが多いです。
※SARA-世界的に使われている多系統萎縮症の評価方法

柔道整復師・鍼灸師 吉池 加奈

多系統萎縮症の新しい治療

世界中でさまざまな臨床試験や治験が始まっています。

多系統萎縮症の原因が徐々に解明され、多種多様な治療が開発中です。ただし、研究中の全てのお薬は根本から治すお薬ではないため、新薬が認可されるまで現状を悪化させないことが大切です。

  • 臨床試験中の治療

    多系統萎縮症とパーキンソン病が同じ種類の病気だと分かりました。先行しているパーキンソン病の治療研究が転用されると、治療薬の開発が一気に進むかもしれません。

    柔道整復師・鍼灸師 吉池 加奈

    神経毒を発生させると考えられているαシヌクレインを抑制する免疫療法や、αシヌクレインが原因の活性酸素の老化から神経を守る治療法、αシヌクレインが原因の病気で、先行して研究が進められていたパーキンソン病の薬からの転用が行われています。


    ION464(別名BIIB101)

    αシヌクレインを発生させる遺伝子情報を阻害する治験中のアンチセンス医薬品です。多系統萎縮症の患者24人の髄腔内へ、イオン464を投与する治験が欧州で行われています。現在、第Ⅰ相試験が実施されました。
    ※アンチセンス医薬品・・・タンパク質の合成を伝えるRNAと結合して機能を阻害・抑制するRNA。

    NBMI

    抗酸化作用のあるお薬で、αシヌクレインが固まるのを予防する作用が期待されています。現在、多系統萎縮症と進行性核上性麻痺の患者16人を対象に第Ⅱ相試験が行われています。

    免疫治療(Lu AF82422)

    αシヌクレインを中和、除去することによってMSAの進行を遅らせ、抑制できる可能性がある抗体治療薬です。米国と日本で第Ⅱ相試験が行われ、結果が2024年2月5日に発表されています。有用な効果は認められなかったとのことです。

    リツキシマブ

    リツキシマブはリウマチ疾患の治療に使われるお薬です。MSAは、活性酸素が原因の神経炎が起こることやシェーグレン症候群との合併頻度が高いことが知られているので、リツキシマブの抗炎症作用を期待して、MSA-Cの患者50人を対象にした第Ⅱ相試験が中国で進行中です。

    間葉系幹細胞自家移植

    間葉系幹細胞はグリア細胞(多系統萎縮症で変性する細胞)に分化できる細胞で、自分の骨髄や脂肪から取り出すことができます。静脈に投与しても脳まで届いて生着するかは不明です。メイヨクリニックでは髄注が、韓国では経動脈投与が試験中です。
    ※髄注・・・脳は血液脳関門があって薬剤が届かないので、薬剤を直接脳脊髄液に注入することで効果が期待できます。

    コエンザイムQ10

    多系統萎縮症になりやすい体質があることが想定されています。その中で、コエンザイムQ10を合成する遺伝子に異変があることが発見され、コエンザイムQ10を使った治験が行われました。効果は、プラセボ群に比べておおよそ30%の進行抑制があったとのことです。
    ※服用する量が通常の10倍前後となるので、副作用を防ぐため効率よく吸収できるかが今後の研究課題のようです。

  • 著者情報

    柔道整復師・鍼灸師 吉池 加奈

    私が書きました

    柔道整復師・鍼灸師 吉池 加奈

    薬に頼らなくとも自然治癒力で症状が改善していくよう、患者さんの鍼治療と心のケアに取り組む。若干の滑舌の悪さと陽気さで場を和ませるムードメーカー。持ち前の好奇心と向上心で、日々新しい治療法を模索している。