多系統萎縮症には
鍼治療とリハビリが効果的です
多系統萎縮症には鍼治療とリハビリが効果的です
多系統萎縮症のよくある質問
更新/2024.08.17
脳の中にごみのようなもの(変性したαシヌクレイン)がたまって、急速に脳の老化が始まる進行性の難病です。 患者様により進行速度に大きな差があります。
ドーパミン経路の神経細胞どうしの連絡に必要なタンパク質です。もともと水に良く溶ける性質ですが、水に溶けない状態に変性して凝固すると活性酸素を過剰に放出して脳神経が変性、破壊され老化が急速にすすみます。
※ドーパミン経路・・・筋肉の動きや感情を調整する脳神経の伝達経路。
遺伝的に多系統萎縮症になりやすい体質があると考えられています。多系統萎縮症の患者様はコエンザイムQ10(活性酸素が原因のカラダの老化を防ぐ健康成分)を合成する遺伝子に異変があることが多いことが東京大学の研究で分かっています。
変性したαシヌクレインが感染源となって正常なαシヌクレインが変性していくプリオン病様の伝播が確認されています。
※プリオン病・・・変性したタンパク質が病原体となってタンパク質間で感染する病気。ヒト乾燥硬膜(現在は試用停止)を使った手術で感染したクロイツフェルト・ヤコブ病や羊の脳を牛の飼料に使ったためにおこった狂牛病が有名。
お酒に酔ったような症状、オネショや失禁、手足の震えやこわばりが出ます。階段で転倒して骨折したり、字がうまく書けなくなったりすることが多いです。歩いている姿を後からみると足を左右に開いて歩くようになります。
自由にカラダを動かすことが出来なくなります。オシッコが全く出なくなることや、声が出なくなることがあります。特に喉を締め付けるように声が出ない症状は窒息することや誤飲性肺炎になることがあるので注意が必要です。
現状は多系統萎縮症をもとから治す治療はありません。出ている症状を軽減する対症療法が主体です。ただ、原因が解明されてきているので効果的なお薬が開発中です。
リハビリが効果的です。転倒しない状況を作って継足歩行の練習をします。歩行器を使って前後の継足歩行の練習をすると効果的です。低音から裏声まで使った発声練習やカラオケも効果的です。進行に個人差が多い病気と言われていますが、個人でリハビリに励んでいる方ほど進行が緩やかな感じがあります。
転倒して骨折すると症状が進みます。全身麻酔をかけると症状が進みます。失禁を止めようと薬を飲むと尿閉になることがあります。前立腺肥大症や脊柱管狭窄症の手術をするとその後に多系統萎縮症が急変することが多くあります。
炭水化物はあまり取らない様にしましょう。食後低血圧で元気がなくなったり転倒したりすることが多いです。安静時の血圧が高くなかったら、チェダーチーズを一日に50グラム程度食べると起立性低血圧に効果的なことが多いです。
患者様の中にはレジストリーの情報を頼りに積極的に臨床治験に参加する方もいます。逆に、治験に参加すると他の治療が一切出来ない状況になることもあるので参加しない人もいます。治験のデータをみながらご自分で決めるのが良いと思います。
多系統萎縮症には3つのタイプがあります。それぞれ症状が異なり鍼治療の方法も異なるのですが、タイプに合わせて鍼治療をすることで、症状を大幅に改善できることが多いです。新薬として開発されているお薬でも、 SARA(世界的に使われている脊髄小脳変性症の評価方法)で0.7ポイント程度の改善なのですが、鍼治療をすると5ポイント程度改善する方もいます。多系統萎縮症は大きく前期と後期に分かれます。前期は歩行ができる期間なのですが、前期を伸ばすことが出来る治療方の一つだと思います。
世界基準ではお酒に酔ったようになるタイプ(MSA-C)と、カラダがすくむタイプ(MSA-P)に分類されているのですが、治療の前半では3つのタイプ(オリーブ橋小脳萎縮症、線条体黒質変性症、シャイ・ドレーガー症候群)の症状に合わせて治療をすると効果があがるので、以前の病名が使われることが多いです。
鍼治療の直後から効果が現れることが多いです。ただし、間隔を開けると戻ってしまうので、定期的に治療をするようにしましょう。当院で鍼治療をされた患者様の中には、治療直後にご家族が見て、歩きつきが良くなっていると感じられた方や、呂律が回らない症状が改善されて電話で話すことができる方もいました。
進行性の難病なので、もとから治すことは出来ません。困っている症状を改善したり進行を遅くしたり出来ることが多いです。発症から5年経過しても、奈良県や千葉県からご自分で自動車を運転して来院される方もいます。
今出ている症状を改善したり、今後の進行を緩やかにしたりできます。自律神経に異常が出るタイプ(オシッコの制御ができないタイプ)は症状が急激に進むことが多いので、早めにご相談ください。
骨折をすると多系統萎縮症は急速に進みます。早めにクラッチ杖を両手について、バランスをとって歩く練習をするのが効果的です。急に立ち上がる動作や食事中、食後には血圧の関係で貧血を起こします。ゆっくりした動作で立ち上がりましょう。また、寝ている時に高いいびきをかいて呼吸をしなくなることがあります。早めにマスクタイプの呼吸器を使いましょう。
保険を使った治療だと平等性を問われるので、どの医療機関にかかっても同じ質の治療を受けられます。鍼灸院では自費治療となるので、鍼灸院によって治療方法も治療費も変わるので事前に良く調べてから鍼治療をするのが良いと思います。
多系統萎縮症は悪化する前に体温に変化が出ることが多いので、サーモグラフィの設備がある鍼灸院が良いです。また、深部の姿勢筋を刺激した後すぐにリハビリをすると効果が上がるので、リハビリに積極的に取り組んでいる鍼灸院を選びましょう。
当院の場合、14回の治療をした後に検査をして、検査結果に合わせてその後の治療間隔を相談しながら決めています。14回の治療は出来る限り詰めて治療をします。1週間程度ホテルに滞在して、1日に2回の治療をされる方が多いです。
須坂市内には、昔ながらのホテルや旅館があります。バリアフリーのホテルなら長野市内で宿泊される方が多いです。長野東須坂インター付近にルートインが建設中です。
多系統萎縮症の鍼治療・検査費用は保険適用外となります。捻挫や筋損傷が多系統萎縮症の症状を進行させたり回復を妨げたりする要素になることがあります。そういったケースでは、捻挫や筋損傷の部分は保険適応となります。
自律神経の異常、脳と手足の血流状態、カラダの傾きを調べます。
初診時に15,000円前後の検査費用がかかります。
検査結果により、A~Cの治療を組み合わせて行います。
A.シャイ・ドレーガー症候群の治療:8,000円前後
B.オリーブ橋小脳萎縮症の治療:9,000円~16,000円程度
C.線条体黒質変性症の治療:5,000円前後
※A~Cの組み合わせで、費用は異なります。
※事前にお見積もりを作成しています。ご予算に合わせての治療も可能です。
※初診に限り土日祝日と平日の午後は、検査費用と自費診療分は1.5倍となります。予めご了承ください。
私が書きました
森上鍼灸整骨院 鍼灸師 相良 範明
多系統萎縮症の鍼治療に欠かせない、自律神経・ストレス状態をデータから読み解き、患者様ひとりひとりに合わせた治療を行っている。
お医者様とは違った角度から検査をして鍼治療に活かしています。
西洋医学的に治療法が確立されていないような難病や、保険医療で良くならなかった患者様、お薬の副作用でかえってお体を壊してしまった患者様を専門に治療する鍼灸整骨院です。お医者様とは違った角度から検査をして、鍼治療をしています。初診では十分な時間を取って患者様の問診をするので、お困りのことがあったらご相談ください。
当院独自の検査
カラダの傾きを検査する
オリーブ橋小脳萎縮症では、カラダの傾きが大きくなるほど症状が進みやすいので、カラダの傾きを検査します。傾く原因を作っている姿勢筋を確認しながら鍼治療を進めます。
自律神経の状態を検査する
多系統萎縮症では、症状が悪化する前に自律神経のバランスを崩すことが多いです。自律神経中枢の障害は体表温度に現れるので、悪化の予兆を調べて鍼治療を進めます。
脳への血流を検査する
多系統萎縮症が進行する方は脳への血流が悪化していることが多いです。寝ている状態と起きている状態では血流が変化するので、日常生活で一番多い姿勢で脳への血流状態を調べて鍼治療を進めます。