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多系統萎縮症の原因

多系統萎縮症の原因を説明する院長 吉池 弘明

更新/2026.08.24

多系統萎縮症の原因について教えてください。

多系統萎縮症の鍼灸治療 東京都 S.K.さん

いろいろな病院に通院して最後は多系統萎縮症と診断されました。突然に難病と言われて頭が真っ白になりました。多系統萎縮症は、どんなことが原因でおこるのですか?

東京都 S.K.さん

脳で神経の伝達を調整するタンパク質(αシヌクレイン)が変性して、毒性を発揮することが原因です。

αシヌクレインは、運動バランスや感情表現をする脳神経の伝達を調整するタンパク質なので、αシヌクレインが変性して固まると、カラダを動かすことや感情を表現することが徐々にできなくなります。

また、患者さんの血清から多系統萎縮症を発症させるシード(種)が発見され、取り出すことに成功したという発表がありました(Nature Medicine誌)。最近では、多系統萎縮症はプリオン病のように感染・伝播すると考えられています。

徐々に原因が解明されてきています。

近い将来、多系統萎縮症をもとから治すお薬が開発されるかもしれません。

院長 吉池 弘明

  • この記事の執筆者

    森上鍼灸整骨院 院長 吉池 弘明

    森上鍼灸整骨院 院長 吉池 弘明

    【資格・経歴】
    ・厚生労働大臣認定:はり師/きゅう師/柔道整復師

    多系統萎縮症の治療経験37年。医師とは異なる検査【医療用サーモグラフィ】を取り入れ、のべ20万人を検査、治療成果を上げる。自らを「サーモグラファー」と命名。

    多系統萎縮症の鍼治療に欠かせない、自律神経・ストレス状態をデータから読み解き、患者さんひとりひとりに合わせた治療を行っている。はり・きゅうの日生まれ62歳。

  • 多系統萎縮症の原因

    遺伝的に多系統萎縮症なりやすい体質があると想定されています。

    パーキンソン病やレビー小体型認知症の患者さんが血縁者にいると、多系統萎縮症を発症する率が高まるようです。多系統萎縮症になりやすい体質を持った人が生活習慣やストレス、環境などの外因が作用したことが原因で病気が発症すると考えられています。

  • αシヌクレインとは

    αシヌクレインは神経のシナプスの連絡に使われる重要なタンパク質です。

    αシヌクレインは神経のシナプスの連絡に使われる重要なタンパク質です。

    院長 吉池 弘明

    ドーパミン経路の機能低下

    運動調整や認知機能、感情や学習などの機能が徐々に低下していきます。

    αシヌクレインは、カラダの微調整や感情の調整をする神経経路(ドーパミン経路)のシナプス機能の調整をすると言われています。ドーパミン経路の機能が低下すると、運動調整や認知機能、感情や学習などの機能が徐々に低下していきます。

    PETによる画像化に成功

    診断技術の確立や根本的治療薬の開発が進むことが期待されています。

    αシヌクレインは、今までは生体での確認ができない状況でした。2022年8月の量子科学技術研究開発機構の発表によると、αシヌクレインを陽電子放射線断層撮影装置(PET)で画像化することに成功したそうです。多系統萎縮症における診断技術の確立や根本的治療薬の開発が進むことが期待されています。

  • αシヌクレインが変性する原因

    αシヌクレインはシードで変性されます。

    αシヌクレインはシードで変性されます。

    院長 吉池 弘明

    αシヌクレインシードの発見

    複数あるシードにより、集積する場所が変わり異なる病気が発症します。

    2023年5月に、αシヌクレインを変性させるαシヌクレインシードが発見されたと発表されました。シードは複数あり、シードによりαシヌクレインの集積する場所が変わり、パーキンソン病や、レビー小体型認知症、多系統萎縮症が発症します。

    封入体として蓄積し毒性を発揮

    不溶性に変性したαシヌクレインが脳神経を急速に萎縮させます。

    αシヌクレインは、もともと水に良く溶けるタンパク質なのですが、不溶性に変性することで、脳神経細胞を支えるグリア細胞の中に封入体として溜まります。その後、毒性を発揮して急速に脳神経が萎縮していきます。

  • シードが健康な脳神経を侵していく原因

    シードによるαシヌクレインの変性はプリオン様の細胞感染だと分かって来ました。

    シードによるαシヌクレインの変性はプリオン様の細胞感染だと分かって来ました。

    院長 吉池 弘明

    マウス実験でわかった感染性

    正常なマウスの脳が約1年で多系統萎縮症の脳神経に変性しました。

    正常なマウスの脳に多系統萎縮症のαシヌクレインシードを注入すると、一年程度かけてマウスの脳が多系統萎縮症の脳神経に変性していくことが発見され、多系統萎縮症は、異常タンパク質による感染(異常プリオン様の感染)だということが話題になっています。

    プリオン様感染のしくみ

    シードが神経細胞に取り込まれ、細胞間で伝播していくようです。

    プリオン感染は細菌やウイルスとは全く別の、異常たんぱく質に触れると移る感染です。変性したαシヌクレインを主成分に生成されたシード(異常たんぱく)が神経細胞に取り組まれて細胞が変性して細胞間で伝播していくようです。

    現在、シードを標的にした新薬の開発や臨床試験、治験が進んでいます。