脊髄小脳変性症は、鍼灸治療で良くなりますか？

夫は以前からめまいがあったのですが、次第に歩行でふらつくようになってきました。ようやく脊髄小脳変性症と分かっても治療については何もなく、経過観察になりました。

うまく動かない体に、胸が張り裂けそうな思いでいます。鍼治療を検討しているのですが、効果はありますか？

東京都Ｋ.Ａ.様

脊髄小脳変性症は進行性の難病ですが、鍼治療とリハビリを併用すると、歩行が安定したり話しやすくなったりすることが多いです。

ただ、脊柱管狭窄症など他の疾患が重なると、症状が急速に進んでしまうことが多いので、ご留意ください。分からないことやご不安なことは、何でもご相談ください。

院長吉池弘明

進行を早める要注意なことは？

遺伝性の脊髄小脳変性症は、多系統萎縮症(脊髄小脳変性症の中の1つの疾患)と比べて、比較的ゆるやかに進むと言われていますが、脊柱管狭窄症や糖尿病になると、末梢神経障害と自律神経障害が出やすくなり、進行を早める要因になることが多いです。

また、橋本病などの甲状腺の病気も、お薬の効き目を阻害してしまうことがあるため注意が必要です。

進行を早める要因

他の疾患が重なる
(脊柱管狭窄症、糖尿病、甲状腺疾患など)
転倒による骨折
部屋の中に閉じこもる
(筋肉を使わないと動きが悪くなるため)
手先を使わない

脊髄小脳変性症に鍼治療は効果があるか？

脊髄小脳変性症の鍼治療

鍼で脳に向かう血流を改善すると、脳の中のホルモンバランスが整うので、呂律が回らない構音障害や重心バランスの改善に効果的です。
※SARA（世界的に使われている脊髄小脳変性症の評価方法）で、5点程度改善することが多いです。

POINT

舌のもつれが改善します。
飲み込みにくさが改善します。
ふらつきが改善します。
小脳性運動失調の進行を緩やかにします。

神経を調整する鍼治療

自律神経異常や血流異常は、医療用サーモグラフィで体表温度を診て、効果的なツボの選定に活かしています。鍼で逆行的に筋肉から脊髄・小脳に向かう神経を刺激できるので、小脳性運動失調の緩和や、進行を緩やかにするのに効果的です。

治療前

治療後

重心を整える鍼治療

エコーで筋繊維を確認して、繊維が細くなった筋肉を治療します。逆行性に筋肉から脊髄・小脳に向かう神経も刺激できるので、歩行の維持に役立ちます。

治療前

治療後

POINT

歩行状態が改善します。
ふらつきが改善します。
バランスがとれるようになります。
物がつかみやすくなります。

当院独自の検査

カラダの傾きを検査する

カラダの傾きが大きくなるほどふらついてしまうことが多いので、傾く原因になっている姿勢筋を確認しながら鍼治療を進めます。
自律神経の状態を検査する

症状が悪化する前に自律神経のバランスを崩すことがあります。自律神経中枢の障害は体表温度に現れるので、体温から悪化の予兆を調べて鍼治療を進めます。
脳への血流を検査する

脊髄小脳変性症の進行速度が早い方は、脳に向かう血流が低下していることが多いです。姿勢によって血流は変化するので、日常生活で一番多い姿勢で調べて鍼治療を進めます。
検査結果に合わせてツボを刺激

検査の結果に合わせて、的確なツボを鍼で刺激していくので、より脊髄小脳変性症の症状の回復が高まる鍼治療が可能となります。

治療費

治療回数について

14回ワンクールで治療を続けて検査をします。
一日に複数回治療をすることも可能です。
その後、検査を行ない、治療間隔を決めていきます。

検査料

自律神経のバランスや、カラダの傾き、手足の動きの異常や血流の状態を調べます。
初診時に15,000円前後の検査費用がかかります。

鍼治療の費用

検査結果に合わせて、 脊髄小脳変性症の鍼治療Ａ・Ｂ を組み合わせて行います。
※事前に治療見積もりを作成しますので、予算に合わせて治療範囲を決めることも可能です。
※平日13時以降、土曜、日曜、祝日は初診時のみ、検査費用と治療費が1.5倍になります。

脊髄小脳変性症の鍼治療Ａ

● 治療範囲

● スーパーライザー

脊髄小脳変性症の鍼治療
初診料	704円
治療費	6,996円
スーパーライザー	352円

手足のツボを使って逆行的に小脳や脊髄を刺激する鍼治療です。
※別途、1本30円の鍼材料費がかかります。

脊髄小脳変性症の鍼治療Ｂ

● ● 治療範囲

筋肉の代謝を高める鍼治療
初診料	704円
● 治療費	704円
● 治療費	352円
リハビリ	3,630円

筋肉の鍼治療とリハビリで運動機能を取り戻す鍼治療です
鍼治療で深部の姿勢筋を刺激した後、30分以内のリハビリが効果的です。
※1～5部位では1部位704円、5部位からは1部位352円となります。
※1～5部位では条件が揃えば保険が適応されます。
※別途、1本30円の鍼材料費がかかります。

著者情報

私が書きました

森上鍼灸整骨院院長吉池弘明

脊髄小脳変性症の治療経験37年。医師とは異なる検査【医療用サーモグラフィ】を取り入れ、のべ25万人を検査、治療成果を上げる。自らを「サーモグラファー」と命名。神経内科疾患の鍼治療に欠かせない、自律神経・ストレス状態をデータから読み解き、患者様ひとりひとりに合わせた治療を行っている。はり・きゅうの日生まれ62歳。

参考文献

運動失調の見方、考え方小脳と脊髄変性省中外医学者（2017/09/01）
脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン南江堂（2018/05/25）
小脳と運動失調中山書店（2013/03/06）
脊髄小脳変性症のすべて日本プランニングセンター（2006/01/01）
脊髄小脳変性症マニアル日本プランニングセンター（2015/09/07）
脊髄小脳変性の臨床日本プランニングセンター（1999/08/01）
国民のための名医ランキング桜の花出版 (2023/11/8)
名医のいる病院2024永岡書店 (2023/12/11)
あなたの主治医が名医に変わる本マキノ出版 (2018/9/18)

脊髄小脳変性症の鍼灸外来

長野県須坂市で難病や難治性の疾患を専門に治療している鍼灸院です。

40年にわたり、脊髄小脳変性症を専門に研究してきました。お医者様とは違った角度から検査をして、カラダの機能をとりもどす鍼治療を提案しています。検査をしながら鍼治療をする鍼灸院はあまりないため、日本各地からご来院くださる患者様が多くいらっしゃいます。難病克服のため鍼治療が皆様のお役に立てることが私たちの願いです。