お父さんが診断された遺伝性の脊髄小脳変性症(脊髄小脳失調症SCA)の多くは、近年、原因となる遺伝子が次々と特定されており、発症の仕組みがかなり詳しく分かってきています。
主な原因は、遺伝子の中にある「同じ暗号の繰り返し」が、正常な人よりも異常に長くなってしまうことです。
これにより、以下の2つのパターンのどちらかで神経細胞にダメージが蓄積します。
1-1. 異常なタンパク質が溜まって毒になるタイプ(ポリグルタミン病)
SCA6を含む多くのタイプは、あるタンパク質が神経に少しずつ溜まることで起こります。
SCA1、SCA2、SCA3(マシャド・ジョセフ病)、SCA6などが代表的です。
遺伝子の中の「CAG」という3つの塩基の連続した繰り返しが異常に長くなることが原因です 。
この情報をもとに作られたタンパク質は、細胞にとって「不良品(毒性を持つ異常なタンパク質)」となり、神経細胞の中に少しずつゴミのように溜まっていきます。

1-2.タンパク質になる前のRNAが原因になるタイプ
SCA31だけは、少し違う仕組みで神経に負担をかけています。
SCA31などがこれに当てはまります。
こちらは異常な遺伝子からタンパク質が作られる前の「RNA」という物質の段階で細胞の核の中に溜まってしまい、それが毒性を発揮して神経細胞の働きを邪魔します。
1-3.【なぜ高齢になってから発症するのか?】
同じ遺伝子を持っていても、発症の時期が中高年になる理由があります。
人間の細胞には、本来こうした不良品のタンパク質を分解して処理するお掃除機能が備わっています。
しかし、年齢を重ねるにつれてこの処理能力が次第に衰えてきます。
その結果、ある時期を境に毒性を持つタンパク質を処理しきれなくなり、細胞内に蓄積して神経細胞がダメージを受けるため、中高年になってから発症すると考えられています。