経過観察の他に治療法を探している方へ

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脊髄小脳変性症の原因

副作用のない自然な方法で、脊髄小脳変性症を治療する鍼灸治療

更新 2026.07.12

脊髄小脳変性症の原因について教えてください。

脊髄小脳変性症の原因について教えてください。東京都 K.A.さん

父親からの脊髄小脳変性症のようです。

この病気は、進行が早い人・遅い人、発症年齢が早い人・遅い人など様々のようですが、どんなことが原因で起こるのですか?

東京都 K.A.さん

脊髄小脳変性症は一つの病気ではなく、小脳や脊髄の神経細胞が少しずつ失われていく複数の病気の総称であるため、病気のタイプによって原因が異なります。

大きく分けて、全体の約7割を占める「孤発性(遺伝しないタイプ)」と、お父さんが診断された約3割の「遺伝性」とで、現在分かっている原因のメカニズムが違います。

それぞれの原因について、分かりやすく解説します。

院長 吉池 弘明

  • この記事の執筆者

    森上鍼灸整骨院 院長 吉池 弘明

    森上鍼灸整骨院 院長 吉池 弘明

    【資格・経歴】
    ・厚生労働大臣認定:はり師/きゅう師/柔道整復師
    ・開院:1986年
    ・所属:全日本鍼灸師会 会員

    脊髄小脳変性症のご相談が多いことから、論文を読み漁り治療について模索。お医者様の治療法が確立されていない病気の鍼治療に取り組み40年。

    西洋医学を基盤とし、ベースとなる鍼治療+自律神経異常の観点から、日々多くの患者さんの鍼治療をおこなっている。

  • 脊髄小脳変性症

    小脳を中心とした神経の変性による疾患を総称して脊髄小脳変性症(SCD)と言います。

    このページでは、脊髄小脳変性症の中でも、多系統萎縮症を除く脊髄小脳変性症の原因を中心に解説しています。

    多系統萎縮症の詳しい原因については、【こちら】をご覧下さい。

  • 1. 遺伝性脊髄小脳変性症の原因

    脊髄小脳変性症の約3割がこのタイプです。

    脊髄小脳変性症の鍼灸治療に取り組む鍼灸師 吉池 弘明

    お父さんが診断された遺伝性の脊髄小脳変性症(脊髄小脳失調症SCA)の多くは、近年、原因となる遺伝子が次々と特定されており、発症の仕組みがかなり詳しく分かってきています。

    主な原因は、遺伝子の中にある「同じ暗号の繰り返し」が、正常な人よりも異常に長くなってしまうことです。

    これにより、以下の2つのパターンのどちらかで神経細胞にダメージが蓄積します。

    1-1. 異常なタンパク質が溜まって毒になるタイプ(ポリグルタミン病)

    SCA1、SCA2、SCA3(マシャド・ジョセフ病)、SCA6などが代表的です。

    遺伝子の中の「CAG」という3つの塩基の連続した繰り返しが異常に長くなることが原因です 。

    この情報をもとに作られたタンパク質は、細胞にとって「不良品(毒性を持つ異常なタンパク質)」となり、神経細胞の中に少しずつゴミのように溜まっていきます。

    異常なタンパク質がゴミのように脳神経に溜まるポリグルタミン病の模式図

    1-2.タンパク質になる前のRNAが原因になるタイプ

    SCA31などがこれに当てはまります。

    こちらは異常な遺伝子からタンパク質が作られる前の「RNA」という物質の段階で細胞の核の中に溜まってしまい、それが毒性を発揮して神経細胞の働きを邪魔します。

    1-3.【なぜ高齢になってから発症するのか?】

    人間の細胞には、本来こうした不良品のタンパク質を分解して処理するお掃除機能が備わっています。

    しかし、年齢を重ねるにつれてこの処理能力が次第に衰えてきます。

    その結果、ある時期を境に毒性を持つタンパク質を処理しきれなくなり、細胞内に蓄積して神経細胞がダメージを受けるため、中高年になってから発症すると考えられています。

  • 2. 孤発性脊髄小脳変性症の原因

    脊髄小脳変性症の約7割がこのタイプです。

    脊髄小脳変性症の鍼灸治療に取り組む鍼灸師 吉池 弘明

    多系統萎縮症(MSA)や皮質性小脳萎縮症(CCA)などが含まれます 。

    こちらのタイプは、根本的な原因はまだ完全には解明されていません。

    皮質性小脳萎縮症(CCA)は、個人が持って生まれた体質(遺伝的要因)に、生活習慣や環境などの外的な要因が作用した結果として発症するのではないかと推定されています。

    多系統萎縮症(MSA)の詳しい原因については、【こちら】をご覧下さい。

  • 3. 脊髄小脳変性症で進行速度が違う理由

    病型や遺伝子のリピート数の違い、表現促進現象により進行速度が変わります。

    脊髄小脳変性症の鍼灸治療に取り組む鍼灸師 吉池 弘明

    3-1.病気の種類(病型)そのものの違い

    脊髄小脳変性症は一つの病気ではなく、複数の異なる病気の総称です。そのため、どの病型に罹患しているかによって障害される神経の範囲や進行スピードが根本的に異なります。

    たとえば、遺伝しない(孤発性)「多系統萎縮症(MSA)」は進行が比較的速く、発症から約3年で介助歩行、約5年で車椅子が必要になり、予後が悪いとされています。

    一方で、Kさんのお父さんが該当する可能性が高い遺伝性の「脊髄小脳失調症6型(SCA6)」や「31型(SCA31)」などは、純粋に小脳だけがゆっくりと障害されるタイプであり、発症は中年以降と遅く、進行も非常に緩やかであるという特徴があります。

    常染色体顕性遺伝の脊髄小脳変性症sca6とsca31の進行を現した画像

    3-2.遺伝子の「異常な繰り返しの長さ(リピート数)」の違い

    遺伝性SCDの多く(SCA1、SCA2、SCA3、SCA6など)は、原因となる遺伝子の中にある「CAG」という特定の塩基配列の繰り返し(リピート)が、正常な人よりも異常に長くなってしまうことで発症します。

    このリピート数は患者さんごとに異なりますが、「リピートの回数が多ければ多いほど、発症年齢が若くなり、症状も重症化する(進行が早くなる)」という強い相関関係(法則)があります。

    また、Kさんのお父さんの候補であるSCA31(TGGAAという配列の挿入)においても、その異常配列が長い患者さんほど若い年齢で発病する傾向が確認されています。

    3-3.世代を経るごとの若年化・重症化(表現促進現象)

    遺伝性の異常なリピート配列は、親から子へ世代を受け継ぐ際に不安定になり、さらに長さが伸びてしまう性質があります。

    そのため、親の世代よりも子の世代の方が発症年齢が若くなり、症状もより重くなることがあり、これを「表現促進現象」と呼びます。

    特に、病気の原因遺伝子が父親から伝わる場合(父系遺伝)に、リピート数が大きく伸びやすく、この現象が顕著に現れることが知られています。
    (※ただし、SCA6の場合はこのリピート数が安定しており、世代間での若年化はほとんど起こらないとされています 。)

    原因が分かっても進行速度や将来の症状は病型によって大きく異なります。

    遺伝子検査の結果や現在の症状から、今後の経過をある程度予測できる場合があります。

    当院では検査結果の見方や生活上の注意点についても無料でご相談をお受けしています。

    脊髄小脳変性症の鍼灸治療に取り組む鍼灸師 吉池 弘明
  • 参考文献

    • 運動失調の見方、考え方-小脳と脊髄小脳変性症中外医学社
    • 遺伝性脊髄小脳失調症の病態と治療展望医学書院
    • 小脳と運動失調 小脳はなにをしているのか中山書店